香綾会コラム

No.54「40数年ぶりの再会―その人は「チューリップ」の財津和夫君」

    

安河内 清徳(高18回生)

7月2日(火)の「チューリップ40周年ツアー福岡ファイナル」は予想以上に盛り上がった。福岡サンパレス入り口前では、立ち見席用のチケットを購入する人の長い列が出来ていたのを見て驚いた。全席のチケットがすでに売り切れてしまっており、買えなかったファンのために立ち見席が設けられたものだとわかる。

今年の5月に、「チューリップ」のラストコンサートが福岡で行われると聞いたが、チケットは発売開始日でも手に入れるのが難しいとわかった。そこで、同級生である財津君に何人分かでもチケットを確保してほしい旨の手紙を出した。すると6月に入って、「チューリップ」の公演を企画している事務所から「何人分欲しいですか?」とのメールが届いたのである。チケットの購入が約束されたのがわかって嬉しかった。そこで、思い切って10名分を依頼すると快く承諾してくれて、2階の最前列に10名分の席が確保された。

当日思ったことだが、2階で本当に良かった。もし1階の席だったら、総立ちの観客のために前を見ることが出来なかったであろう。特に、元担任であるご高齢の原口政敏先生も一緒だったので、2階からゆっくりと見下ろせる位置は最高だった。

ところで、1400人を超える1階のファンは非常に熱狂的だった。大半が私達の年齢ほどであるのに、長時間にわたる演奏の間、ほとんど立ったままで拍手やエールを送っていたことに感心した。コンサートは15分間の休憩をはさんで1部と2部に分かれており、曲の合間にはトークがほとんどなくて次々に演奏と歌が流れる。エレキギターやドラムに加えてキーボードがホール内に響き渡り、最初はスピーカーのボリュームが大きくて耳をつんざくように感じた。しかし、音量に慣れていくにつれて、体が曲に合わせて動いていくのがわかる。特に「魔法の黄色い靴」「虹とスニーカーの頃」や「心の旅」などのよく知っている曲が演奏されると、自然と口から歌詞が飛び出している自分に気付く。周りの席では興奮して立ち上がり、体を揺らしているファンの姿が目に飛び込む。

2部が終わると予想通り、アンコールの大合唱が起こった。しばらくして、メンバーが再入場してアンコール演奏が始まったが、何と立て続けに3曲も演奏。しかし、それでも観客は満足せず、再度のアンコール。またもや2曲の演奏が終わり、これで本当に終了と思いきや、観客の要望に応えて3回目の登場となった。今度は「チューリップ」を支えてくれたスタッフ一人一人に対するお礼の言葉が述べられた後、やっと最後の曲で締めくくりとなった。観客の大満足した拍手がしばらく鳴り止まなかった。終演は21時15分だったので、実に2時間45分のコンサートである。

財津君には、私達10名が楽屋で会えるという許可をもらっており、案内された楽屋でしばらく待った。彼は別室でも親しいファンに挨拶したり握手をしたりしていた。その人気ぶりとサービス精神が伺える。彼が、やっと私達が待っている楽屋に来てくれた時はもう22時近かった。私達を見るとすぐさま、一人一人の名前を言いながらの握手。中には顔は覚えているが名前が出てこないというクラスメートもいたが、高校卒業後初めて会う場合は当然そういうこともあるだろう。途中で、担任の原口先生がいらっしゃるのに気が付いて、彼から出た言葉は、「先生は私達と変わらない雰囲気なので、同級生だと思った。」再会を喜びながら、2人が抱き合う姿を見ていると恩師と教え子の関係はいいな、としみじみ心に伝わってきた。

米寿の原口先生が言われるには、「60歳代はまだまだ若い」ということなので、財津君にはさらに活躍の場を広げてほしい。ただし、お互いにそう無理が出来る歳ではないので、実行できる範囲での活躍を願っている。「チューリップ」と財津君に心からエールを送りたい。

香綾会コラム No.54「40数年ぶりの再会―その人は「チューリップ」の財津和夫君」
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