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香綾会コラム

   第7回コラム 「香椎高校の思い出と第84回香綾会総会」

                     高32回生 森 義範
 第2話 予餞会で歌ったTOKIO
卒業前に福岡市民会館で行われた予餞会も私の大きな思い出の舞台となった。
卒業生代表の歌が香椎高校の恒例かどうかは知らなかったが、代表挨拶を頼まれた時、1年生の時に体育館で卒業生代表の人がギターの弾き語りをしたのを覚えていて、自分もギターは弾けないが歌なら歌えると思い、すでに何を歌うか考えていた。

当時のベストテンで流行っていたのはジュリーのTOKIOだった。パラシュートをつけたジュリーを見て、どうせやるならこのくらい派手にやろうと思ったが、何せパラシュートはないからデパートで見つけた小さな赤白模様の傘を買って、これなら笑えると衣装を揃え出した。学生でお金はないから、持っていたワイン色のジャケットに、クリスマス用の光る電球を縫いつけて電気で光るようにした。同級生がやっていた怠慢バンドに演奏を頼んで一緒に練習もした。練習と言ってもそれを口実に夜遊びしただけだったような気もするが。

本番当日、会場の福岡市民会館へ行くと、生徒指導のI先生が私のパーマをかけた髪を見つけて「おまえその頭では中に入れんぞ」と言われた。 「先生!俺は代表で歌うんですよ」「その頭じゃダメだ!」「皆と練習もして衣装も揃えたのに」「絶対に中には入れん」 いつも厳しかったI先生と私のやり取りを見て、同級生は「もう諦めり」と言ったが、諦めきれない私は、I先生に「髪を切ってくればいいんですね?」と聞くと「髪を切ったらいい」と言われた。

近くの床屋に駆け込んで、この日のために高い金を出してかけたばかりのパーマを丸ボーズに切ってもらった。「これならいいんでしょう?」とI先生を睨み付けながら会場に入ってステージに立った私は思い切りジュリーのTOKIOを歌った。でもパーマをかけ眉を剃った怠慢バンドはステージには上がれずに、舞台裏で演奏してくれた。
今でも私のアルバムには、ボーズ頭のジュリーが小さな傘のパラシュートをつけて、両手を広げ片足を上げた格好で歌う何とも滑稽な写真が残っている。

かっこつけずに得意の演歌にしておけば良かったと後悔もしたが、あれはあれで貴重な思い出として、私の青春の1ページを飾っている。


第三話へつづく